歴史の中に見る神の救い

マタイによる福音書1章1~17節

ユダヤ人は、自分のルーツに強い関心を持っていて、自分たちの先祖が誰であり、どこから来たのかということを知ることによって、民族的アイデンティティを持つことができたのです。従って、ユダヤ人の先祖に対する意識は、他の国の人々と比較にならないほど強いと言わざるを得ません。確かに、彼らは、二千数百年も主の民としての民族の形成を維持し続けることができたのは、類い稀な民族意識とそれを根拠付ける「聖書」を「持ち運べる祖国」(Portable Fatherland) として親しんできたからではないかと思います。教会に結ばれているキリスト者も、まさに、キリストの系図に繋がれた者として、神の愛と憐みの中に生かされています。こうして、新約聖書の最初にすべての人を包み込む神の愛の広さが示されて、まさに、キリスト者一人一人は、イエス・キリストの系図の中に名が記されているのです。神は、このキリストの系図に類する信仰者から神の僕を起こされる愛と恵みの神です。

2018年12月9日 加山彰一