信仰の人サムソン

士師記16章18~31節

デリラ (「誘惑する」「罠」などの意味) は、サムソンの関係した中で最も有名な女性です。ペリシテ人たちが彼女に望んだことは、サムソンを騙して力の秘密を聞きだすことでした。それゆえに、彼女は箴言7章に登場する「よその女」と同種の人物と言えましょう。サムソンは、デリラに自分の力の秘密を洩らして両眼を抉られるという悲惨な目に遭いますが、次第に髪の毛が生えてきて力を得ます。サムソンが真剣な祈りを主に献げるのは、彼が低くされた後のことで異教のダゴン神殿でのことです。その祈りは、両眼のための復讐でした。私たちもまた、異教の地にあって苦境に立たされ、艱難を受ける時もあります。その時、私たちは十字架上で祈られた主イエスの執り成しの祈りを想起しなければなりません(ルカ23:34)。「サムソンは信仰の人なのか」という私たちの疑念は、死をも恐れずに偶像と戦った彼の姿にその疑惑の雲は消え去るのではないでしょうか。私たちも現代においてサムソンと同じ戦いを戦っているのです。

                          2018年9月30日 加山彰一