学者たちの旅

マタイ2:1~12

クリスマスの物語は、宇宙的構想を有しています。交通機関が発達していなかった2000年前にあって東方から学者たち(新共同訳は「占星術の学者たち」)が幼子を探しに来たということは驚くべきことです。彼らは夜空に不思議に輝く星に導かれて旅を続け、途中、エルサレムでヘロデ王に会見したものの、遂に救い主をベツレヘムに見出しました。
真理と人間が出会うためには、人は真理を真摯に求める必要があります。安閑としていて真理と出会おうと思うことは身勝手でしょう。後に主イエスが語られた「求めなさい。そうすれば、与えられる。」(マタイ7:7a)という約束の言葉は、学者たちにとっても妥当でした。と言っても、彼らは何の目当てもなく旅に出かけたのではありません。彼らは不思議に輝く星を見つめながら旅を続けたのです。そして、この星は、始終彼らを導いたのです。
私たちが注目すべきことは、学者たちが自分の学識に頼らず、導く星を信じて、それに従って旅をしたということです。導く星は幼子のいる場所にとどまり、「学者たちはその星を見て喜びにあふれた」(マタイ2:10)とあります。幼子イエスに会っていないのに彼らは喜びに溢れています。これは、神の約束の確実性を彼らが受けとめたことの証です。そして、彼らは家に入って遠方から持参した贈り物をささげました。これは、東方の叡智溢れた人たちが、人間となられた神の前にひれ伏したことを表しています。
東方の学者たちの旅、輝く星、そして幼子イエスとの出会い、その一つ一つがクリスマスの思いをふくらませてくれます。
「神は、すべての人々が救われて真理を知るようになることを望んでおられます。」(テモテ一2:4)
「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。」(ヨハネ1:14)

2019年12月22日 加山彰一