父を悲しませてはならない

創世記44章18~34節

 あなたは、あなたの両親を悲しませるようなことをしていませんか。今日の聖書箇所においてユダは、すでに、ベニヤミンの兄のヨセフがいなくなったので、父が悲しんでいること、さらに「末の息子がいなくなったら父は死んでしまいます。父親に、そのような嘆きと悩みを与える息子がどこにいるのでしょうか。」と述べて、「末の弟ベニヤミンをご主君の奴隷とせずに、兄弟たちと一緒に父のもとに帰らせてほしい。」とヨセフに嘆願しています。ユダの嘆願には相手の機嫌を取るようなことも、喧嘩腰のところもありません。彼は、正直にベニヤミンの穀物袋の中に銀の杯が入っていたことを認め、残りの兄弟を帰らせることを受け入れていました。不利な立場に立たされると激しく反論する人もいるのですが、彼は、どんな辛く、厳しい状況に立たされても激しく言い返すことなく、淡々と語り続けます。こうして、私たちは、このユダの嘆願を静かに聞いているヨセフの背後にいる神の豊かな愛と慈しみを感じ取ることができるのです。やがて、ヨセフは、自分の身の上を明かし、兄弟と和解をし、ヤコブ一族をエジプトの地のゴシェンに住まわせます。そして、イスラエル人は、エジプトの地でその数を増していくのです。

                      2019年8月18日 加山彰一