ルカによる福音書7章11~17節
詩編の作者は、人の命の儚さについて「人の生涯は草のよう。野の花のように咲く。風がその上に吹けば、消えうせ、生えていた所を知る者もなくなる。」(詩編103:15~16)と語っています。死は、どんな年齢にかかわらず、すべての人のすぐ近くにあります。従って、死の備えをすることはどんな人にも必要です。今日の聖書は、ナインの町での出来事です。すでに夫に先立たれたこの女性は、一人息子を亡くします。主イエスは、この女性を見て憐れに思い「もう泣かなくてもよい」と言い、棺に手を置いて「若者よ、あなたに言う。起きなさい。」と言われました。すると、死人は起き上がりものを言い始めました。主イエスは、若者に「命」を与えたのです。心身に痛みを持つ人間は、その痛みがいやされ、傷口が回復して新しい人間として生きることを望んでいます。愛と憐れみの福音は、そのような人間に向けられているのです。ここに一人息子をいやされる主がおられます。主イエスは、今も、私たちを訪ね、顧みて憐れんでくださいます。主イエスによって悲しみを喜びに変えられた母親、そして、死から復活させていただいてた若者は、私たち自身を映し出しているのです。
2019年2月3日 加山彰一